マハロ船長の航海日誌 Captain MAHALO's Blog

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2015. 05. 28

土左衛門を浮かべる

熊野灘クルージング中に、オリオン兵藤さんが話してくれた、
バスタブで溺死体を発見したときの様子からの連想なのですが、
『海のまつりごと』(大久保房男著 紅書房1991)からもうひとつ興味深いエピソードを。
土左衛門とは、水死体が水を吸って白くぶくぶくと膨らんだ様子が、
享保年間の力士「成瀬川土左衛門」に似ているということでそう呼ばれるようになったそうですが・・・
syaraku_3_3_3-b712d_20150522211707843.jpg(お借り画像、内容とは関係ありません) ↓

私は幸い土左衛門さんに出会ったことはありませんが、
海に出ていると、きわめて稀とはいえ、遭遇してしまうこともあるようです。
ヨット乗りでもそういう経験をした人を複数名知っています。

ヨット乗りでもそんなですから、
プロの漁師なら、なおさらでしょう。

そんなとき、気がつかなかったフリをしてしまいたい気持ちを諌めるための風習が、
熊野の漁師達にはありました。

少し長くなりますが『海のまつりごと』から引用させていただきます。
ここで水死体を「浮かべる」というのは「船に引き上げる=往生させる」という意味です。
「浮かばれない」の反対語ですね。
この“儀式”には、三人の人それぞれに役目があります。
一人目は、浮かべてあげようという意見の漁師
二人目は、いやだという意見の漁師
三人目は、水死体の役(でも、しゃべります。)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
水死人を3回まわってから、右舷の中央につけた。
秋やんは水死人の作業衣を掴み、船縁にしゃがんだ。
「この仏、浮かべてやろや」
ちょっと改まった感じで多四やんは言った。
「いや、これから漁せんならんのに、邪魔になる。浮かべてやらんでもええ」
富三やんは本を朗読しているような調子で言った。
「どうぞ、浮かべて下されませ」
秋やんは水死人の上衣から手を離さず、顔だけ多四やんの方に向けて言ったが、(中略)その言い方は一番ぎこちなかった。
「そいじゃ、浮かべてやるか」
多四やんは片手で櫓をわずかに操作しながら言った。
「いや、浮かべてやらんでもええ、これから漁するのに邪魔になる」
富三やんはきつく逆らう調子で言った。前よりぎこちなさが取れて、少し自然な感じになった。
「大漁させますよって、どうか浮かべて下さりませ」
秋やんは相変わらずぎこちなく言った。
「そいじゃ浮かべてやるが、大漁させるな」
多四やんは少し芝居気のある調子で言った。
「はい孫子末代まで大漁繁昌させますよって、どうか浮かべて下さりませ」
秋やんだけは、下手な素人芝居のような調子が抜けない。
「そいじゃ、浮かべてやろや」
と多四やんがきっぱり言って、
「ええか、足からやじょ」
とつけ足した。
秋やんは水死人の上衣を持っていた手を離し、富三やんと共に腰を持ってちょっと引き上げてから、手繰ってズボンの上から足を片足ずつ持つと、二人で声をそろわせ、エヤマカサンジョイドッコイショと掛声かけて立ち上がり、逆様に水死人を引き上げた。正太はただつっ立っていた。
「正太よ、肩持てッ」
多四やんにどなられると、正太はあわててしゃがみ、水死人の両肩を掴んで船の中に運んだ。
水死人は、海水をざざざっと垂らしながら船の中に運び込まれた。

儀式はこれでおしまいではなく、
この後一度海中に放り投げてしまってから、
もう一回同じ芝居を繰り返してから船に引き上げ完結するのです。

もし、浮かべずに行ってしまった船には悪いことが起き、
ちゃんと浮かべた船には良いことがあると言い伝えられているそうです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
IMGP2272.jpg
もし(もしもですよ!)海でこんなことになったら、
この儀式を思い出して、手厚く浮かべてあげることにしましょう。

byマハロパパ
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COMMENT▼

No Subject

へぇ~~~!!!
”土左衛門”とは・・・・
力士「成瀬川土左衛門」からなんですね。

No Subject

勉強になりました力士の名前だったのですね。
そう云えば以前早朝散歩中に、横浜港の「土佐衛門」引上げ現場に出くわしました。
ブルーシートで厳重に囲われた河口堤に警察や
消防の方が大勢出入りしてました。既に亡くなら
れているのに、「救助活動をしております」と消
防士の方はおっしゃっておりました。
医師が死亡確認するまでは、あくまで生存者として扱い救助活動を行うのですね。滅多に無い経験を致しました。

そうでしたか!

意外なお話、ありがとうございます。
「浮かべる」がそんな意味なるとは
日本語とは不思議な言語ですね
そして深いですね!

ホノムボーイさんへ

> ”土左衛門”とは・・・・
> 力士「成瀬川土左衛門」からなんですね。
成瀬川関にしてみれば、とんだ迷惑なことですが、
すっかり定着してしまいましたので、
いまさら変えられませんね。

行燈入道さんへ

> 滅多に無い経験を致しました。
あまりしたくない経験ですね。
しかし、一番したくない経験は、
自分が土左衛門になってしまうことです。
それだけは避けたいものです。

Derekさんへ

すでにプカプカ浮いてるのに「浮かべる」とは奇妙な言葉ですが、
「拾う」とか「引き上げる」とか「回収する」といった、
まるで物を扱うような言い方よりも良い言い方ですね。

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